metalunk’s blog

最適化の話とか,Tech な話とか,趣味の話とか

さいきん社会復帰したソフトウェアエンジニアです.

大学院では数理最適化の研究をしていました.

仕事を辞めて学生になったはなし

2年間エンジニアとして働いた会社を2015年に退職し,筑波大学大学院の修士課程(ほんとうは博士前期課程という)に進学した.

社会人から学生になるというのは海外ではよくある話なようで,筑波大の留学生の友だちにもそういう人が多いけれど,日本ではあまり見ないので誰かの役に立つことを期待して経験談のようなものを書く.

そもそもこれは入学した時点で書くつもりだったのに,もう卒業まであと2か月という時期になってしまった.すみません.

進学した経緯

まずは学部生のときのはなし.私は学部生のときも筑波大学に通っており,自分で好きなものを作ったりインターンシップを通じて,プログラミングが楽しいと思っていた.そこで,大学院には行かず就職しようと考え,少しの就職活動を行って3年生の2月10日にグリーに内定をもらった(内定をもらったのがニートの日だから覚えやすい!).IT 企業は早くから就活が始まり,早くに内定が出るようで,自分の場合も3年生のうちに内定が出た.その後,研究室配属が行われ,授業で少し勉強したときに面白そうと思っていた数理最適化の研究室に4月に配属された.で,その数理最適化というやつが思いのほか面白くて!進学してもっと勉強したら面白くなるだろうなと思っていたが,もう内定をもらっているし,10月には内定式というものが行われ,一般に内定式以降に断ると会社の人にキレられお茶をかけられるという噂もあり,少し後ろ髪を引かれながら就職した(もちろんエンジニアとして働くことも楽しみだったけど).だから,新卒として就職したときからいつか大学院に進学したいなという思いは持っていた.

会社でエンジニアとして働くことは,勉強になるしお金ももらえるし,とても楽しかった.2年目の後半に,なんとなくひと段落したかなと思って大学院受験しようと思い立ち,受験しようと思っていることを上司に伝えると「進学いいね.もちろん受験していいよ.で,受かったらちゃんと教えてね.手続きとかあるから.落ちたら黙ってて.察するから」ということで受験を許してもらえた.その上司以外にも,えらい人やチームメイトにも,在籍中はたくさんワガママを言ってご迷惑をおかけしたのにサポートしてもらって,グリーはとてもいいチーム & 会社だった!で,結局受かったから進学した.

そういえば会社を辞めるとき,メンターとしてとてもお世話になった先輩が「チームに入って最初の 1 on 1 のときに,なにやりたいの?って聞いたら,大学院に行きたいです!って言ってたでw」みたいなことを言っていた.そんなことを新入社員が言うのはどうかと思うけど,結果おかげさまで進学できたw

ところで就活の仕組みについて,学部生の研究がおもしろくなる前に就活が始まるのがおかしいと思う.自分のように大学院に行けばよかったと後悔しながら就職する人は結構いるんじゃないかと思う.

でも大丈夫!就職してからでも進学できるから!

進学して良かったこと

頭がよくなった

相対的に,入学前の状態よりも頭が良くなった.特に数学は研究を通じてなんとなくわかってきたし,とても面白い.ついでに英語の勉強もしたから英語の能力が向上した.

まあ,勉強すれば頭が良くなるに決まっているし,頭が良くなるのはいいことに決まっている.

勉強がたのしい

やりたいことをやれてよかった.想像していたよりも勉強が楽しい.

修士がもらえる

あまり気にしていなかったが,修士号はビザの取りやすさに効くらしい.将来は海外で働きたいと思っていたから嬉しい.

逆に?

「それ本当に進学しなきゃできないの?」に対して言っておくと,勉強の環境は重要で,同じ数理最適化を学ぶ学生がいる研究室で,賢い先生がいて,議論ができて,指導を受けられて,人の研究も聞けるという環境は勉強にとって重要だと思う.

働きながら夜な夜な一人で勉強しても,同程度に頭は良くならなかっただろうし,勉強はこれほど面白くなかっただろうし,修士号はもらえなかっただろう.

プログラミング忘れた?

ということはないはず.たまにアルバイトをしたり研究でもたまに書いていたので.そもそもエンジニアリングにおいて重要なのは文法を暗記することでも,一発でコンパイルを通すことでもないはずだから.

お金のはなし

現在,学生生活22ヶ月目だが,残りライフは50万円くらい.貯金,奨学金,アルバイトの収入を合わせるとだいたい500万円くらい.よって,2年間の学生生活で使ったお金は500万円くらい.

給料

当たり前だが,会社を辞めると給料がもらえなくなる.もし進学せずに2年間働いていたら...2年分の年収がもらえて...学費はかからないし...うわあぁぁぁクルマが買える!!となるから考えるのをやめる.

資金

バイトに明け暮れて勉強に集中できないような最悪の状況を回避するために,社会人時代に貯金をした.2年間でおよそ200万円を貯め,足りない分は奨学金を借りようと思っていた.また,自分が趣味で進学するわけだから,親からの仕送りや学費の援助は全て断った.ところが両親は,仕送りだとか学費だとか言うと私が受け取らないから,帰省するたびに交通費やらなんやらとあらゆる口実でお金を渡そうとしてきて,幾らかは受け取って助けてもらった.たぶん全部で20万円くらいを受け取ったが,これがなかったら卒業できなかったくらいにカツカツだった...

奨学金

日本学生支援機構の第一種奨学金を8.8万円/月で借りている.第一種奨学金であれば,学内外で優秀な成果を残すと卒業時に返済免除申請をすることができ,全額免除や半額免除される可能性がある.奨学金を借りる必要がなくても,第一種奨学金なら利子はないし,免除の可能性があるから借りておいて損はないかもしれない.

ラッキーなことに学内表彰,専攻長特別表彰,学外表彰をもらったので,これから免除申請をする.(数理最適化での表彰がまだ一つもないのがとても悲しい)

アルバイト

バイトに明け暮れて...というのは絶対にやらないと決めていたが,たまにアルバイトをした.数学ばかりやっていると頭がおかしくなりそうだし疲れてくるし飽きてくるから,そもそもお金がないから,エンジニアのアルバイトをした.よい経験になったし,金銭的にもアルバイトをしなかったら足りなくなっていた.

一年生の秋からクックパッドで半年ほど働いた.夏休みの一ヶ月間は週4くらいで集中して働けたが,その後は研究もあって週1くらいでしか働けなくなったのが申し訳ない & 残念だった.プログラミングは楽しかったし,ユーザーファーストな会社の雰囲気は居心地がよかったし,おかげで料理にハマった.

2年生の秋に一ヶ月だけスクーで働いた.もともと知り合いの先輩もいたり,会社の雰囲気が良くて働いていて楽しかった.つくばから通うのが辛いからとワガママを言ってリモートワークも許してもらってありがたかった.(追記:社長にご馳走になった sushi🍣 が美味しかった!)

税金,健康保険料

住民税は昨年住んでいたところに,昨年の給料が高いとたくさん払う.健康保険は国民健康保険に切り替わり,これまた昨年の給料が高いと高くなる.

給料をもらっていないのに全部で100万円以上払えなんて殺す気か!と思ったし,死ぬかと思った.

1年目は前年の給料があるから無理にしても,2年目から親の扶養に入れてもらうつもりだったが,それもダメだった.なぜなら入学前ギリギリの3月まで働いていたせいで,2015年の収入が1-3月で130万円を超えたため,扶養にも入れず勤労学生控除も受けられなかった.もしかしたら130万円を超えないくらいの時期に退職してしまった方が安く済んだかもしれない.

これから退職して進学する人は,特に税金と健康保険料について,いくらお金が必要なのかはちゃんと計算しておくべき.

国民年金

学生納付特例が利用でき,払う必要がなくなる.

学費

国立大学ならどこも同じような金額だと思うが,筑波大学の大学院は,入学料282,000円,学費267,900円/半期(つまり2年で1,071,600円)かかる.

いずれも免除申請をした結果,入学料免除なし,1年前期免除なし,1年後期半額免除,2年前期全額免除,2年後期半額免除という結果だった.独立生計者として申請し,課税証明証や銀行口座のコピーを提出するため,社会人時代の給料が高かったりすると免除されにくいらしい.「でもこれから給料もらえないんですよ!」と言ってもよくわからないことを言われてダメだった.そもそも審査の条件が公開されておらず,2年後期は課税証明証の収入もほぼゼロなのに全額免除してもらえなかったりと,納得感がないので文句はたくさんある.(ちなみに成績は優秀だったためそこでの減点はないはず)

かなり免除してもらえる想定で計算していたが,あまり期待しすぎないようにするといいかもしれない.

これから

研究が楽しいから博士課程に進みたいような気持ちになったこともなくはないが,いかんせん論文を書くのが苦手で,博士には向いていない気がするから就職する.

しかしこれからも数学の勉強は続けたい!

おわりに

いま働いているけど進学したい思っている人,お金を貯めるだけで進学できるし,勉強はとてもおもしろい!

自分が進学するときも数少ない経験談ブログに助けられたので,なにか質問があったらお気軽にどうぞ :)